大規模修繕工事/期をまたいで行うには(2017年2月号掲載)
Q
今年度、理事役が回ってきて理事長に就任しました。前期より行っていた大規模修繕工事が今期に完了する工程のため、工事の引き渡し等を新理事会が受ける事になっています。
工事の内容などはほとんど判からず引き渡しを受けるのは大変不安を覚えます。修繕委員会は引継ぎ対応してもらえるのですが、あくまでも諮問機関ですので、責任は理事会に掛かってきます。どのように対応すれば良いでしょうか?
A
大規模修繕工事はマンションの規模が大きいと6ヶ月以上掛かる事はよくあります。その際、理事の交代になるケースも又多くあります。工事ばかりでは無く、その前の修繕設計と修繕工事との間に理事交代の場合もあります。
この様なとき、新旧理事の引継ぎが十分時間を掛けて行わないと、色々な誤解のため紛糾することがあります。新理事は内容がよく判らないまま引継ぎ、責任を負わされることを恐れ、極度に慎重になり、修繕工事が遅滞したり頓挫したりする場合もあります。
大規模修繕工事の計画から実施までの間に理事交代になる場合は、新旧理事、修繕委員、コンサルタントが何度か引継ぎ打ち合わせを行い、丁寧に説明し新理事に修繕工事の経過やその内容を理解してもらう事がとても重要です。また修繕委員会は継続し、出来れば旧担当理事がアドバイザーとして工事が終わるまで残留し、工事後の総会での事業報告の際も旧理事や修繕委員が説明補佐・質疑への対応することで新理事への重圧が緩和されます。この様な体制を旧理事と話し合っては如何でしょうか?
何よりも、大規模修繕の計画段階の最初の理事が工事完了まで留任し、一貫して担当することが一番スムーズに進行すると思います。また、管理組合員も大規模修繕時の担当理事はプロではありませんので、不慣れながら最善を尽くしているのですから小さな事で攻撃的にならず、苦労を労い感謝する気持ちが必要です。
回答者:NPO日住協協力技術者
一級建築士 山田 俊二
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2017年2月号掲載)