委託している管理会社がもし倒産したらどうなりますか? (2003年9月号掲載)
Q.
最近は不景気で会社が倒産する話をよく聞きます。私達の組合はマンションの管理を管理会社に委託しています。もし、管理会社が倒産したら、私達のマンションの管理はどのようになるのでしょうか?管理会社が倒産することで管理組合に不利益が生じることがありますか?
A.
管理組合と管理会社との間には管理委託契約が存在しています。管理会社が倒産したからといって当然(自動的)に管理委託契約が消滅(終了)するわけではありません。契約が継続している間は契約に基づく権利義務関係は残りますから、管理組合には管理委託費等を支払う義務がありますし、管理会社には従前と同様に管理業務を行う義務が存在します。
もっとも、管理会社が倒産して最終的に会社を清算する場合、管理業務を継続することは不可能ですから、管理会社側から契約の解除を求められることが一般的だと思われます(倒産の中でも破産手続きをとる場合は裁判所が破産管財人を選任して、破産管財人が破産した会社の清算業務を行うので、契約の解除は管財人が行います。)。もちろん、この場合管理組合の方から管理委託契約を解除することも可能です。破産手続きの場合は会社を清算(消滅)させる方向で処理することになり、事実上倒産状態に陥った以降は十分な管理がなされない可能性が高いでしょうから、契約解除を念頭においた早急な対応を検討すべきです。
なお、会社が倒産しても、会社を再建する方向で処理することもあります。民事再生法という法律が適用される場合がそうです(有名な例としては百貨店のそごうが倒産したケース等です。)。この場合は営業(管理業務)を継続することが前提ですから、管理会社の側から契約の解除を申し入れてくることは稀です。管理組合としても従前と同様に適正な管理を行ってくれるのであればいたずらに管理委託契約を解除する必要はないでしょう。但し、会社を再建する前提としてリストラに代表されるような人的削減や物的設備の削減を行うのが普通ですから、それにより管理業務の質が低下するようであれば契約の解除を検討する必要性も出てくると思われます。
最後になりますが、管理会社との間で管理委託契約の内容を記載した書面があるか確認してみてください。契約書もなく管理を委託するのは論外ですが、契約書があったとしても管理会社に都合のいい内容が記載されている可能性も否定できません。そのような契約内容を見直す中で、管理会社が倒産した場合の管理組合の取りうる手段を明確にしておくことが望ましいと思います。
回答者:法律相談会 専門相談員
弁護士・石川貴康
(2003年9月号掲載)