分譲当初から委託している管理会社を変更できるか?また、その手続きは? (2005年5月号掲載)
Q.
私達のマンションでは分譲当初からA社に管理を委託していますが、組合員から他の業者と比較して管理費が高いし、管理の内容も不十分ではないかとの不満が出ています。管理会社を替えることはことは出来ますか?また、その場合どのような手続を取れば良いのですか?
A.
多くのマンションでは分譲される際に分譲業者が指定した管理会社が継続的に管理を行っているため、管理会社を替えることは出来ないと考えている組合員もいるようです。しかし、管理組合と管理会社の間にあるのは管理委託契約ですから、その契約を解除して、新しい管理会社と管理委託契約を締結することで管理会社を変更することができます。
次に管理会社を変更する場合の注意点を述べます。本当に管理会社を替える必要性があるのか十分に議論して下さい。理事会で議論した内容を組合員に開示するとともに、アンケート等で組合員の意見や要望を聞くことも大切ですし、他社から見積をとって、業者間の比較及び検討を行うことも必要でしょう。
場合によっては組合員向けの説明会を開催し、候補の業者にプレゼンテーションをしてもらうことも有効です。業者の選定に際して、組合員から癒着があるのではないかとのあらぬクレームが出ないように、透明性のある選定が大切です。
管理会社を変更するには従前の管理会社との契約を終了させる必要がありますが、その方法としては、大別して3つの方法があります。
1.管理委託契約書を見て下さい。通常はここに解約に関する規定があります。この規定に基づいて解約することが考えられます。
2.管理委託契約には契約期間が定められていることが通常です。期間満了にあわせて、契約を更新しないという形で終了させることも出来ます。
3.管理会社が管理委託契約に定めた管理を行っていないのであれば契約違反を理由に契約を解除することも可能です。
但し、(3)の方法は管理会社の方で契約違反はないと争われる可能性もありますので、できる限り(1)か(2)の方法をお勧めします。
区分所有法18条1項は「共用部分の管理に関する事項は~集会の決議で決する」と規定していますが、管理会社を替えることは「管理に関する事項」にあたるので規約に別段の定めがないかぎり、集会の決議で行う必要があります。この場合の決議は、区分所有者及び議決権の過半数(普通決議)で足ります。
管理会社を替える際には管理期間に空白が生じないようにすることと書類を含めた引継ぎがきちんと行われるようにすることも必要です。
回答者:法律相談会 専門相談員
弁護士・石川貴康
(2005年5月号掲載)