「良質なマンションストックの形成促進計画」を策定/東京都

 東京都は、「良質なマンションストックの形成促進計画」を策定した。
都では、世帯の約4分の1がマンションに居住し、主要な居住形態となる一方、ストックの老朽化や居住者の高齢化が進んでいる。その結果、管理組合の機能低下等により、建物の維持管理等に支障を来す例も見られ、放置すれば、管理不全に陥るマンションが増加し、地域の生活環境にも悪影響を及ぼすことが懸念される。こうした問題に歯止めをかけ、将来にわたり都民の豊かな住生活を支える良質なマンションストックの形成を図るため、全国初となる同計画が策定された。
 同計画では、2040年代に目指すべきマンション居住の将来像を描き、今後10年間(2016年度~2025年度)に安全で良質なマンションストックの形成を実現するための目標と施策展開を示している。

(1) 今後10年間の目標と具体的な施策展開
1) マンションの適正な管理の促進
目標1 管理組合による自主的かつ適正な維持管理の促進
 マンション管理ガイドラインや管理アドバイザー制度を充実・普及
 情報ポータルサイトを開設し、マンションの管理等に役立つ情報を発信
≪政策指標≫
 25年以上の長期修繕計画に基づく修繕積立金額を設定しているマンションの割合
 32%(平成23年)⇒70%(平成37年)

目標2 管理状況の実態把握と管理不全の予防・改善
 区市と連携して、マンションの基本情報や管理状況を把握できる仕組みを構築
 管理不全の兆候のあるマンション等を把握し、必要な支援・指導等を実施
≪政策指標≫
 管理状況報告を行ったマンションの割合
 報告対象マンションの80%(平成37年)

目標3 管理の良好なマンションが適正に評価される市場の形成
 データベースの充実・公開等により、マンション管理情報の「見える化」を促進
 優良マンション登録表示制度の普及に向け、優遇策や広告表示のルール化等を検討
≪政策指標≫
 東京都優良マンション登録表示制度の認定を受けているマンションの数
 88件(平成26年)⇒2,500件(平成37年)

2) 老朽マンション等の再生の促進
目標4 マンションの状況に応じた適切な再生手法を選択できる環境の整備
 高齢者など住宅の確保に特に配慮を要する居住者への支援を充実
 改修によるマンション再生や敷地売却制度の活用に対する支援策を検討
≪政策指標≫
 マンションの建替え等の件数(累計)
 約120件(平成26年)⇒約240件(平成37年)

目標5 旧耐震基準のマンションの耐震化の促進
 「マンション啓発隊」について、1度目の成果を踏まえ再訪問を実施
 耐震診断に必要な設計図書の復元費用についても助成を実施
≪政策指標≫
 耐震性を有しないマンションストックの比率
 12%(平成26年)⇒おおむね解消(平成37年)

目標6 まちづくりと連携した老朽マンション等の再生
  隣接地との共同建替えや住宅団地の再生に取り組む管理組合を支援
 先行モデル事業の成果を踏まえ、「(仮称)マンション再生まちづくり制度」を創設
≪政策指標≫
 マンション再生まちづくり制度の適用地区数
 3地区(先行モデル地区)⇒30地区(平成37年)

 今後の計画推進に向け、都は、新たに構築するマンション再生まちづくり制度や、管理状況把握のための仕組みについて、条例化も視野に検討するとともに、更なる法整備や税制優遇措置等について、国への継続的な働きかけを行う。また、臨海部等で増加している超高層マンションへの対応など、近年顕在化している課題について今後実態を調査し、対応策を検討する。
 なお、同計画全文は、都民情報ルーム(都庁第一本庁舎3階北側)又は都市整備局ホームページで閲覧できる。