建替え決議から9ヶ月後に建物解体工事始まる
3月31日、建替中の国領住宅がついに着工した。建替決議成立が昨年の7月初めだから、約9ヶ月間かかった。
仮住居を出て一日も早く新マンションへ入居したい住民が、この日を待ち望んでいたことはいうまでもない。若干の遅れが懸念され始めたのは、2月の後半からだった。
借家人の転出もスムースに
この数ヶ月間、早期着工実現のため、住民は当初予定よりも一月早い1月末退去完了へ向けて奔走していた。引越のピークは1月で、ゴミステーションからあふれた廃棄物の山が印象的だった。
144戸中約30数戸は、権利の変換を希望せず金銭の給付を申し出た。内約10名は団地内居住者だったが、殆んど昨年末までに引越を完了させ、早期着工へ協力した。
約60戸には賃借人が居住していた。居座りを目論む人が現れなかったばかりか、所有者よりも早めに転出を済ませている人が多かった。
団地内居住の所有者は約60名。例外を除けば、団地から徒歩15分以内に仮住居を見つけることが出来た。都営住宅への入居者も全員団地から3キロ以内、内半数は隣接する都営住宅だった。
権利変換計画の知事認可を得て建物取り壊し着工
2月第3週には植栽、外構の解体着手、翌々週に内装解体も始まり、次は躯体解体着手だった。
建築基準法八六条一項(一団地)認定2月13日、建築確認同17日を経ているので、新築なら着工できるところだが、建替えの場合はそうはいかない。着工に先立つ躯体解体には権利変換計画の知事認可が必要である。
これに予想外に時間がかかっている。昨年12月の権利変換計画決議が成立した当時は、2月初めには知事認可が得られそうだと期待した。28日の工事安全祈願祭も認可を待つ中で行なわれともいえよう。心待ちにしていた連絡を東京都から受け、認可を知ったのは3月13日。
4日後の17日に変換日を迎え、躯体解体が可能になる。施行マンション(現マンション)がその日おいて、施工者である建替組合に帰属するからである。もちろん前日までに重機が搬入され、躯体解体に着手した。
認可までの進捗について、後日建替組合が組合員へ説明している。
昨年7月の建替え決議の非賛成者9名中3名に対しは、10月に売渡を請求している。その時点で区分所有権と敷地利用権は、建替え参加者へ移っている。
その内2名の旧所有住戸に抵当権が設定されており、設定者が権利変換計画に同意を拒み続けた。この状況下での認可の前例が無く、東京都も慎重に対処されたとのことであった。
将来、 他の建替えで、見合意者と抵当権設定者のタイアップなども考えられ、今後、それに備えるべき施策を国に期待したい。
<アメニティ新聞284号 2006年5月掲載>