給排水管の改修に関する基礎知識 1

 今回から6回にわたり給排水管の改修に関する基礎知識をお届けしてまいります。

 できるだけ初めて給排水管の改修に取り組まれる管理組合様を意識したいと思いますが、給排水管の仕様は、建てられた年代やマンションのグレードなどによりかなり異なってきますので、適宜必要な情報を拾い合わせて参考になさってください。

1.共用部分と専有部分の区分け

 まずは共用部分と専有部分の区分けを理解することが最も重要です。

 マンション標準管理規約では、別表第2(共用部分の範囲)において「給水管については、本管から各住戸メーターを含む部分、雑排水管及び汚水管については、配管継手及び立て管」を共用部分と定めております。

 これを図解すると、図1・図2のようになります。また、図3は一部の高経年マンションで見られるスラブ下排水管の場合における区分け例です。

図1共用部分と専有部分の区分け(給水管・給湯管)

図2共用部分と専有部分の区分け(排水管)

図3共用部分と専有部分の区分け(スラブ下配管)

2.自分のマンションの給排水管は何が使われているか

 給排水管の改修時期を検討するために、まずは自分のマンションの給排水管にどんな材料が使われているのかを知ることが第一です。管材を確認する方法を紹介します。

方法1:長期修繕計画を確認する

 まずは長期修繕計画を見るのが簡単かもしれません。例えば、給水管「塩ビライニング鋼管」、雑排水管「鋼管」、汚水管「鋳鉄管」というような記載があればまずは大まかに把握できます。

 長期修繕計画においては、使用管材を踏まえた標準的な耐用年数により、おおよその改修時期が仮定されていると思います。  

 当初の設定年数は、あくまで標準的な仮定ですので、設定年数に近づいてきたら後述の「劣化診断調査」などを専門の会社などに委託することで、使用材料が部位毎に異なっている事の詳細や管内面の腐食状況などを知ることができます。

 長期修繕計画が無ければ、無論、できるだけ早く作成するべきです。作成するには現況調査が必要ですから、その調査により管材も自ずと把握されますし、今後、改修工事の優先順位検討をする場面に遭遇した時には長期修繕計画が欠かせないものとなります。

有限会社マンションライフパートナーズ 柳下 雅孝

(次号へつづく)

集合住宅管理新聞「アメニティ」2024年10月号掲載