給排水管の改修に備えるための基礎知識3

3.配管とは

 マンション管理の分野において給排水管の耐久性を語る時は、わかりやすくする為にどうしても「管材」を単体で扱いがちで、私も前号ではそのように記載しました。

 しかしながら、実際の配管というものは単一的な材料で構成されているものではなく、複数の素材からなる管材を接続しながら敷設していくもので、以下の構成から成るものを総称して「配管」と呼ばれています。

1)管(直管)

 いわゆる主要管材で、配管の材質を語る時はこの部分の名称で呼ばれることになります。マンションの給排水管においては、地域性やマンション開発者の考え方、グレードなどの違いにより、採用される管材は異なります。「平成何年建設のマンションだからこの管材だ」とは、おおよその想像はついたとしても言い切ることはできません。

2)継手

 管の中に圧送される上水を二方向に分岐させたり、流下する下水を合流させたりするためには、その目的に応じた「継手」が管に挿入されることになります。

 管と継手は同じ材質とは限らず、異なる素材で管を継ぐことはよくあることです。 現場において管と継手を「接合」していく訳ですが、この作業が「施工」であり、この施工の善し悪しが配管の品質や将来の耐久性を決める重要な要素になります。漏水事故が発生する部分のほとんどは、この接合部分です。

3)接合材

 管と継手を接合するために使用されるものです。例えば給水管で数多く使用されてきた「水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管」であれば「ねじ接合」による接合方法が多用されてきました。接合前のネジ部には液状のシール剤が塗布され、接合後の余ネジ部外面には錆止めペイント塗りが行われ、この丁寧さが後の耐久性に大きく作用することになります。

 排水管で多用されている樹脂製の「硬質ポリ塩化ビニル管」は、管と継手は同じ素材でそれを専用の接着剤により溶着されます。給水管用のステンレス鋼管であれば、実は継手内部にゴム製のパッキン類が挿入されている製品がほとんどで、それにより止水機能が保持されておりますので管の耐久性は母材と同等にパッキン類の性能も重視されるべきです。管と継手は、接合材が無ければ繋がらないのです。接合後は、水圧または空気圧により漏れがないか検査されます。

4)支持金物

 配管は自重や地震動に負けないよう躯体へ強固に固定する必要があり、その固定方法やピッチが重要になってきます。管の接合に問題は無かったのに、固定する金属製の吊り棒が腐食で折れてしまい、配管が脱落して漏水事故が発生したという事例もありますので、支持金物による固定は接合と同じぐらい重要です。

 室内のリフォーム工事においては、残念ながらこの管の支持固定が疎かになりがちです。

5)外装材

 配管は裸になっている事の方が少なく、何らかの形で管の外側が覆われています。

 給水管であれば管の外面に結露が生じないよう断熱材で包まれ、その外側は化粧材で覆われます。さらに雨掛かり部分の場合には板金で保護されるので、施工完了後は配管そのものを目視できなくなります。

6)弁類

 その他にも、水の流れを制御する弁類や圧力を調整する減圧弁、配管の伸縮や変位を吸収するフレキシブル継手、一番身近な蛇口(水栓)などが配管に接続され初めて有効に機能するようになります。

有限会社マンションライフパートナーズ 柳下 雅孝

(次号へつづく)

集合住宅管理新聞「アメニティ」2024年12月号掲載