「100年続くコミュニティ」を目標に  BrilliaCity石神井公園ATLAS(2024年2月号掲載)

 先月号では、昨年11月19日に行われた「BrilliaCity石神井公園ATLAS」の街びらきイベントの様子を伝え、旧石神井公園団地の建替え事業が順調に進んだ事をお伝えした。そして同イベントでは、新しいマンションの次なる課題として、旧団地のコミュニティをいかに継承していくのか話し合われた。

建替えで世代の多様性が実現

 旧石神井公園団地では、居住者の高齢化が進み、それが建替えの大きな理由にもなったが、建替えにより、総戸数844戸のうち、543戸が新しく分譲された。そして、新しい住戸の購入者の約8割が30~40代となることで、高齢世代から若年世代までが揃う世代の多様性が実現した。事実、当日の街びらきイベントでは、高齢世代から小さな子ども連れのファミリー世代まで参加し、世代の多様性が実現していた。

 そして、同マンションの次なる課題は、旧団地時代に培われたコミュニティを、新しい居住者の人達も含めたコミュニティに変質させていくことにある。

左より山田五郎氏、建替組合 黒河内理事長、㈱東京建物 大橋利安氏、㈱Polaris 大槻代表

コミュニティ形成の仕掛けを最初から準備

 建替え事業では、事業終了後、事業協力者であるデベロッパーは新しいマンションに関わらないことが一般的である。

 しかし、同マンションの事業協力者である東京建物㈱は、石神井公園団地に住んでいた人と、これから新しいマンションに住もうとしている人や近隣の人達とのコミュニティ醸成拠点として、マンション販売センター内に、コミュニティスペース「Shakuji‐iiBASE」を2022年1月にオープン。同スペースの運営を、コミュニティスペースの運営に実績のある㈱Polarisに委託し、同スペースには建替え組合の黒河内理事長も詰め、石神井地域や団地の魅力、コミュニティに関するエピソード等を伝えた。

 そして、新しいマンション内に「Shakuji‐iiBASE」の機能を受け継ぐコミュニティスペース「アンドエス」を設け(今年1月14日グランドオープン)、同様に㈱Polarisに運営を委託した。

 イベントの中で、㈱Polarisの大槻さんは、「愛着が感じられるマンションになるための5カ条」(図)を提案している。特にその中の「第3条 住民同士のつながりに選択肢がある」という条文について、「繋がることを苦手とする人もいるので、一人でいることもできて、みんなといることもできるという、自分のその時々のライフステージや状況に合わせて〝選択〟できるのが大事」と説明。「アンドエス」もそのような場になることを目指す。

図 愛着を感じられるマンションになるための5カ条

コミュニティづくりに特化した自治会を設立

 また同マンションでは自治会を設立する。旧石神井公園団地では、夏祭り等の運営主体は管理組合であったが、新しいマンションでは、運営主体が自治会になる。これは2016年の「マンション標準管理規約」の改正を受けての措置だが、同マンションの自治会は、ゴミ出し当番や回覧板もなく、コミュニティづくりに特化した活動を行うという。

自治会役員募集ポスター

 現在自治会役員や、イベント活動を共にする運営サポーターを募集中で、役員等の条件には年齢制限も設けず、幅広く募集する予定とのこと。今月、設立総会を予定している。