マンション再生ーその2

-マンション再生-その計画と実施 2
 わが国での最初の分譲マンションは、民間では1956年の四谷コ-ポラスといわれている。5階建て28戸の比較的小規模のものである。 これより早く東京都が分譲した宮益坂アパ-トは11階建てであり公的分譲の第1号となる。 また、同時期の1955年には住宅公団(現在の都市基盤整備公団)が設立され、団地型の分譲マンションが首都圏で売りだされた。 分譲マンションの供給が本格的に始まったのは1960年代の前半からで、この時期のものが第1次マンションブ-ムと言われている。 その後1990年代後半のものを第6次ブ-ムとしているが、 年代別の供給戸数を見ると1988年以降は着工統計を見る限り一時期を除いて毎年の供給戸数は15万戸を超えている。 地域による差もあるが供給戸数は以前の2倍以上の年もあり、2002年の段階では全国で427万戸を超えるストックとなっている。

 また、1998年に行われた住宅・土地統計調査によると、首都圏の大都市部(京・浜・葉)では共同住宅が半分以上を占めており、 今やマンションが都市型住宅として完全に定着したことを示している。

6年後には30年マンションが150万戸に

 一方、これらのマンションを経年でみると、2000年(平成12年)の時点で全ストックの6割が10年を経過し、 20年を超えるものが全体の1/4(約100万戸)となる。これが6年後の2010年には20年を超えるものは215万戸、 その内150万戸が30年を超えるマンションとなる。

国土交通省は、2002年(平成14年)に建替えについての技術的指針として「マンションの建替えに向けた合意形成に関するマニュアル」 及び「マンションの建替えか修繕かを判断するためのマニュアル」を作成し公表している。 また、建替え円滑化法の一部改正時には、マンションの寿命は30年なのか、40年なのかといった論議もなされてきた。 しかし、現実には建替えは様々な問題を抱えており、困難なマンションが多い。建替えが不可能な市街地型の高層マンション等では、 建物をいかに長持ちさせるか(長命化)と、経年により住宅としての機能が陳腐化してくる高経年マンションを、 どのように再生させるかが課題となっている。

国交省が「再生マニュアル」公表

 つい先日、6月の始めに国交省は「改修によるマンション再生マニュアル」を公表した。 このマニュアル作成には、前述の「建替え円滑化法の一部改正」の法律案に対して、国会で付帯決議がなされたことが前提にある。 その決議の中に「良質なマンションストックの活用等の観点から、増改築による既存マンションの再生手法の普及を図るなど、 マンションの長寿命化が図られるよう、積極的な取り組みを行うこと」という内容があり、 その具体案が今回の「再生マニュアル」へとつながったようである。

 今回公表された「マンション再生マニュアル」をいかに使いこなすかで、マンション再生「長寿命化」の可能性を探ることができる。 しかし、一方で「再生」に至るまでの日常のメンテナンスや、過去の建築・設備等の大規模修繕がどのように行われてきたかも、 重要なポイントになることは言うまでもない。

[図-1.マンションの築年数別ストックの推移]