16.デベロッパーの倒産
群馬県のマンションブームは平成16年に始まるが、普段は県内で年間200~300戸程度のところだ。16年に755戸、17年657戸、18年1510戸、19年1254戸の着工件数となった。02~06年のバブル時には市街化調整区域にまで開発が伸びたが、今回は県内のマンション開発の半数が高崎市に、しかも狭い中心商業地に集中した。空洞化した地域の再生に役立つかと市民の期待感も高まった。
02年頃のバブル崩壊では開発業者の倒産が続出したのだから、懲りもせず県外からやってくるものだと思っていたが、実はUターン組が少なく、2社しかない。ところがこの2社はあとから倒産した。デベロッパーの多くは新興不動産業者で新参組だ。懲りていないのだ。老舗のデベロッパーは地方都市には来ない。代理販売業者がいつの間にか開発者になっている。マネーゲームの匂いさえする。中にはまとめて住宅を購入して再販しているのだが元の販売主名が消えている。販売センターで聞いても瑕疵補修の責任者が曖昧だ。都市再生どころか都市壊しに来たのではないかと不安を持って観察していたら17年6月ごろから売れ行きが悪くなった。18年後半になると金融危機と重なって全国で不動産業者の倒産が続出した。18年以降に分譲されたマンションは群馬県内で48棟、19社、倒産業者が同じ時期に開発を手がけたのは11物件、6社である。
この他危険水域にあるA社を合わせると06年以降で12箇所、7社となる。大田、伊勢崎、館林、桐生市地域では販売スピードは高崎市に比べて格段に劣る。群馬県は新興不動産業者が狙う穴場であるが、そのさらなる穴場が大田、伊勢崎、桐生、館林市である。その結果18年以降のこれらの地区で竣工した12物件中5物件で開発業者が倒産した。大事なことはこの地域に進出したから倒産したのではなく、このような地方都市を好んで展開している新興不動産業者が倒産したのだ。前回のバブル崩壊時と全く同様だ。極端に自動車社会化した地方都市ではマンションの成立も存続も困難だ。外から勝手につくられたブームは不良資産を蓄積する危険性が高い。
完売した物件でも開発業者が倒産すれば系列管理会社も影響を受けやすい。管理の混乱が生じる恐れがあろう。高崎市内には工事ストップでゴーストビルの様相を呈している物件があるが、その隣地にはほぼ100%完成したものの販売中止となった物件が建っている。その徒歩1分先には倒産が懸念されているA社の物件が分譲中である。
ところで地方進出業者の共通項は(1)機械式駐車場を100~200%設置しても販売促進のために駐車料金を無料または格安で分譲してしまうことだ。修繕積立金も驚くほど低い。時限爆弾付分譲だ。(2)一方、駐車場を殆ど設置せず、マーケットリサーチを欠いている場合もある。(3)ロビーなど見かけは広く立派でも管理組合にとって不可欠な会議室を欠く。(4)資本力が弱いため大都市圏を避けて地方都市だけで事業展開する場合が少なくない。もちろん地道に事業展開する業者もいるが、残念ながら購入者の多くは判断できない。(つづく)
(2009年4月号掲載)